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涙が止まらない ~舞台「HIKOBAE 2013」~ [完全にお客。]

去年インタビューした、映画監督・俳優の塩屋俊さんが
企画・演出した舞台「HIKOBAE 2013」を観に行きました。

テーマは、東日本大震災。
震災後、福島県相馬市の病院のスタッフが
何を考え、悩み、行動したのかが描かれています。

タイトルの「HIKOBAE」=ひこばえ、とは、
樹木の切り株や、根元から生えてくる若芽のこと。
再生と、新たな息吹の象徴です。

およそ2時間の上演中、
心が震え、涙が流れ、観客席でむせび泣き、
周囲のお客さんからもすすり泣きが聞こえたのですが、ラストには、勇気が出ます。
私も、きちんと生きていこうという思いが残る作品でした。

被災地の悲惨さだけでなく、人々の再生までをも描くのが
塩屋さんのすばらしさだと改めて感じました。
(塩屋さんの代表作のひとつ、映画「0(ゼロ)からの風」では、
 愛する息子を悪質な飲酒運転の交通事故で失った母親(田中好子さん)が、
 危険運転の厳罰化を求めて活動する姿を、実話に基づいて描かれています)

塩屋さんは、震災発生後、
以前から縁のあった相馬市の人々の姿をカメラに収め、
そこから多くの「事実」を集め、この物語をうみだしました。


物語は、地震が起きる直前、3月11日正午から始まります。

何気ない日常、恋人と些細な喧嘩...
フツーの暮らしの前に、突然、地震、津波、原発事故が起きるのです。

住民を避難させるために町へ向かった恋人・消防団員は帰ってこない。
この町から逃げるべきか病院職員は悩み、
ケガして担ぎ込まれた少年にはすでに両親はなく、「ボクも死にたい」と言う。

主人公である、アメリカ人留学研修医の目を通して、
「直後」の人々の変化や信念が見えてきます。


市長が、活動中に亡くなった消防団員の名前を読み上げるシーン。
読み上げる時、スクリーンに男性の写真が次々と出てきました。
役者ではない・・・と思った瞬間に、胸に痛みが走りました。
ご本人です。
ご家族から遺影を借りた、相馬の消防隊員の方々でした。
使用許可がおりたため、福岡公演、つまりきょうから上映ができるように
なったそうです。

すべて流され、数少ない貴重な写真という方もいらしたとのこと。
釣りで大きな魚を釣った時のスナップ写真もありました。
「この方々にも、日常があり、家族、仲間がいた」ことがすぐに想像できました。

そして、スゴかったのが舞台上の「生演奏」。
キーボード、パーカッション、太鼓が、
絶妙のタイミングで場面転換の音楽やBGM、効果音を演奏し、
その音が、体の芯にじんじん響くのです。
大音量だけが迫力ではないのだと実感しました。


もちろん、役者も素晴らしかった。
看護婦で恋人をなくすヒロインの趣里さんは、
華奢なだけにその内面の“強さ”が強調されるようでした。
そして、消防団員役の鈴木亮平さんの爽やかな明るさと頼もしさが、
悲しみをより強くしました。


九州では、震災を、少し遠くに感じる人が多いと思われます。
でも、この舞台をナマで観ることで、
「共に感じる」ことに、ほんの少しだけ近づけるかも知れないと思いました。
子供たち、そして大人にとって、「観ておくべき舞台」だと思います。
学校単位、学年単位で観劇する作品になればいいのにな。


この作品を作り出した塩屋さんに敬意を表し、
こんなに感激できる作品に出会えた幸運に感謝します。


(2013.4.13 福岡銀行本店大ホール)

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